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1984年製作のハウザー三世です。ジャーマンスプルースの表面板、サイド・バックは良質なハカランダ材を使用しておりさすが、ハウザーです。三世の作品は私自身は「材料の割にいまひとつ...」の感じを抱いていたのですが、この楽器はそれまでの感じを一変させました。特に中高音の響きはハウザー二世を彷彿させるものがあります。考えてみるとハウザー二世が未だ健在だった頃の三世の作品ですね。張りも強くなくすっきりした音をお好みの方にはうってつけの楽器でしょう。近々、在庫一覧に掲載させていただきます。
さてこの楽器の表面板の裏世界はと言うと、前回ご紹介したハウザー二世の67年製とそっくりです。トーレスタイプの7本の扇状の力木がありますが、下部のV字型の力木は67年製と同様ありません。何故なくしたのか...]表面板を厚くした事で不要と考えたのでしょうか?.....(謎)
この楽器の重量は1640gあります。67年製のハウザー二世は1560gでしたから更に重量増加しております。58年製二世の作品(1420g)から比べると220gの重量増となっています。それ故か、音の立ち上がりは決して早くありません。
では音の遠達性はどうでしょう? 小音楽堂での弾き比べの結果では、残念ながら父二世の67年製が上回る結果となりました。手元での鳴り方はこの三世の楽器の方が鳴るように感じます。やはり、倍音が少なく音の分離が良い方が遠達性が良いということでしょうか。
いづれにしろ、コンサートホールで通用すべく音の遠達性、分離の良さを追求していくと表面板をはじめとした楽器の部位の厚みを増して行った結果なのではないのでしょうか?ただ、ハウザーは弦長は基本647mmボディの厚さが少しづつ厚くなったに留まっており、アグアドの70年以降の大幅な設計変更をしていった過程とは異なるように思います。次回はアグアドについて裏から覗いてみたいとおもいます。