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この楽器は1958年製のハウザー二世で表面板がスプルース、サイド・バックがハカランダそして塗装はセラックです。力木の構造(以下ブレッシングと呼びます)はシンプルな扇状形で7本。シンメタリックに配置されており、下部にV字型に二本配置されています。トーレスの楽器に準拠しているようです。
音は比較的立ち上がりが早く、低音はドーンという感じ。高音はハウザーならでの透明感があり深遠な響きをしています。特に2弦、3弦のハイポジションはサスティーンが長く秀逸です。
後年のハウザーと比べ楽器自体の重量が軽く(1420g)作られております。ちなみに軽い楽器として知られるロマニロスですが、当店ギャラリーのロマニロス1975年製の重量は1440gとほぼ同等の軽さです。その為か、音の立ち上がりが後年のハウザーより早く、張りも柔らかで70年代以降のハウザーと比べると全く異なる印象をもたれることでしょう。
ブレッシングが音色を決定する一つの要因ではあっても全てでなくどのように影響するかは良くわかりません。力木は補強の要素だけでなく表面板の余計な振動を抑える働きもあるのかも知れません。
個人的な意見ですが倍音が後年のハウザーより強く、手元でも良く鳴るややスパニッシュな感じがします。ただ音の遠達性はどうなのか? 次回は同じハウザーでも1967年製のブレッシングを見ながらお話したいと思います。